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相続土地国庫帰属制度の手続きと注意点まとめ

相続土地国庫帰属制度は、相続によって引き継がれた土地が活用されずに放置され、管理が困難になる問題を解決するために導入された制度です。
この制度は、特に相続人が土地の利用や管理を行わない場合に、土地を国に返還することができる仕組みとして注目されています。
本記事では、相続土地国庫帰属制度の目的、利用方法、メリット・デメリット、運用上の課題について詳しく解説します。


相続土地国庫帰属制度とは


相続土地国庫帰属制度は、2021年4月に施行された新しい制度で、土地の所有者が亡くなり、その土地が相続人によって引き継がれた場合、相続人がその土地を放置してしまうケースを防ぐために設けられました。
未利用の土地が荒廃することを防ぎ、土地を適切に管理するための方法として注目されています。

制度の目的


相続土地国庫帰属制度の主な目的は、未利用地の放置による環境への影響や、管理が困難な土地が増え続けることを防ぐことです。
相続された土地が放置されると、以下のような問題が生じることがあります。

 ● 地価の低下や土地の荒廃
 ● 地域社会の景観悪化
 ● 無駄な土地管理コストの発生


これらの問題を解決するために、相続土地を国が引き取ることにより、公共の利益に繋がる形で土地を適切に管理することができます。

制度の概要


相続土地国庫帰属制度では、相続人が相続した土地を希望する場合に、国に返還することができます。
この制度の特徴は、土地を返還した後、その土地がどのように活用されるかは国が決定することです。
返還された土地は、基本的には公共事業や地域の発展に活用されることを前提としており、個人や企業に再譲渡されることはありません。

相続土地国庫帰属制度の流れ


この制度を利用するには、いくつかのステップを踏む必要があります。
以下にその流れを解説します。

土地の申請

相続土地国庫帰属制度を利用するためには、まず相続土地を国庫に返還することを希望する旨を申請する必要があります。
この申請は、相続が発生した土地に対して行うことができます。
申請は土地の所在地を管轄する地方整備局や都道府県が担当します。

申請の審査

申請後、土地が制度の要件を満たしているかどうかが審査されます。
審査のポイントは以下の通りです。

 〇 土地が相続によって所有者が変わったこと
 〇 土地が利用されていないこと
 〇 土地が管理に困難を伴う状態にあること

審査を通過すると、相続人に対して「相続土地国庫帰属申請」の承認が下り、土地を国に帰属させる手続きが進められます。

土地の引き渡し

申請が承認された後、土地の引き渡しが行われます。引き渡し後は、土地の所有権が国に移転します。その後、国が土地をどのように管理するかを決定し、適切な活用方法を模索します。

相続土地国庫帰属制度のメリット


相続土地国庫帰属制度にはいくつかのメリットがあります。以下にその利点を紹介します。

相続人の経済的・精神的な負担軽減


相続人が土地を継承しても、使い道がなかったり、土地管理が難しい場合、維持費や税金が負担となることがあります。しかし、相続土地国庫帰属制度を利用することで、土地を手放すことができ、管理負担を軽減することができます。

土地の放置によるトラブル回避


相続された土地が放置されて荒廃することを防ぐことができます。国が土地を適切に管理することで、地域社会の景観を守り、公共事業などに利用されることで、土地が有効活用される可能性があります。

相続税の軽減


相続した土地が売却できない、または売却しても十分な価格がつかない場合、相続税の支払いが困難になることがあります。しかし、相続土地国庫帰属制度を利用すると、相続税の支払いの負担が軽減される可能性があります。

相続土地国庫帰属制度のデメリットと注意点


一方で、この制度にはデメリットもあります。制度を利用する際の留意点を以下に挙げます。

土地の活用方法は国が決定する


相続土地国庫帰属制度を利用すると、その土地がどのように活用されるかは国が決定するため、相続人や地域の意向とは異なる形で土地が利用される可能性があります。特に、地域住民が望む形で土地が活用されないことがあるため、この点に対する不安を感じることがあります。

土地の返還後に得られるメリットがない


土地を国に返還することで、相続人が土地の使用権を失うため、土地から得られる収益を得ることはできません。また、土地を返還することで財産が減少することになるため、相続人が望む土地の使い方をすることができない点はデメリットです。

申請をしてから土地が返還されるまでに時間がかかる


相続土地国庫帰属の申請から実際に土地が返還されるまでには時間がかかる場合があります。そのため、すぐに土地の管理を楽にしたいという希望には即応できないこともあります。

相続土地国庫帰属制度を活用する前に押さえておきたいポイント

この制度を活用する際には、いくつかの注意点があります。以下にそのポイントを挙げます。

利用条件を確認する


相続土地国庫帰属制度を利用するには、一定の条件を満たす必要があります。土地が未利用であることや、相続人が土地の管理に困難を感じていることなどが要件として求められます。事前にこれらの条件を確認しておくことが大切です。

専門家に相談する


制度利用には法的な手続きが関わるため、税理士や不動産の専門家に相談することが推奨されます。特に相続税や土地に関する問題については、専門的なアドバイスが重要です。

まとめ


相続土地国庫帰属制度は、未利用地の放置問題を解決するために導入された新しい仕組みであり、相続人にとっては土地の管理負担を軽減できるメリットがあります。
しかし、土地を返還することで得られるものがなくなるデメリットも存在します。
制度の利用を検討する際には、十分な理解と準備が必要です。

相続不動産の管理に困っている場合は、この制度を活用することで、土地を有効に利用することができますが、専門家のアドバイスを受けることが重要です。

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